大 森 孟 の ペ − ジ 

     
   

  山と森からの短歌  


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 「山と森からのささやき」             大森孟編集
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 2004/02/11
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   鵜の岬
 目の前の岩礁(いくり)に波の砕け散るトベラかシャリンバイか定めゐるとき
 白御影の真砂を踏みて夕暮るる海に向かへり鵜の岬にて
 水平線丸くゆがむをいふ友と蒼く果て無き海にむかへり
 建ちならぶホテルはたつき立たぬらし夕暮れてなほ灯すともなく

 2004/01/12
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    小石川後楽園
 笹しげる盧山に日差しやはらかく再び三たび麓をめぐる
 西湖の塘(つつみ)に淀む池の水冬の日の影半ばのみにて
 大岩の陰より光さすごとくカワセミは飛ぶ蓬莱の島
 茶店あと稲を植ゑたる田の跡よ民の心をいましめとして

 2004/02/20
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    八国の峰 
 疾風のをさまる夕べ楢の枝透きて赤く丸き月影
 夕空の星のごときよ花つける株の増えゆく庭のキケマン
 漸くに梅一輪の花開く北のなだりの篭居の庭は

 2004/02/21
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    下富
 君ら来ぬひと日はこころ落ち着かず森の丸太にたびたび坐る
 ひと月に葉は褐色にかはりはて百年の松また命絶ゆ
 乾ききる百の年輪かぞへつつ二ミリの虫に絶えしを嘆く
 年輪を数へて材の用途なきを嘆くも思ひ新たにはならず


 2003年7月26日
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    車中吟
  思ひ浮ぶことひとつなし脳漿をしぼるごとくにものを思へど
  炎天のなかの一日ながかりき電車の中にひたすら眠る
  優先席独り占めして悪態をつくがごとくにわめき立てゐつ 若者二人
  ヤマユリの花咲かぬこと稲の穂の出るか出ぬかを怖れゐしこと 

 2003年07月20日
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   ヤマユリの花
  この森に手を入れ七年やうやくに白百合の花豊かに開く
  わが撮りし白百合の花心きく言葉をそへて君に送らむ
  紺色の単へよそほひ白百合を染出したる帯を締めゆく
  待ちまちて白百合の花灯すごと明け行く庭のかたへに寄りて
  茂りあふコナラの森の草を分けゆらりともせず白百合の花

 2003年7月18日 
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  丹念に色を塗りたるブナやカエデ描き切りたる木々のイラスト
  こまやかな心遣ひのにじみたるメグスリノキの葉の赤きいろ
  いくたびか出してはしまふ秋の葉を描きて賜びしそのイラストを

 2003年07月12日
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    滝山城址
  ヤマユリの蕾膨らむ堀のあと北条氏照戦ひたりしか
  信玄を謙信をむかへし夢の跡ヤマユリの花堀の堤に
  ほの暗き土塁の上より匂ひ来るひともと咲けるヤマユリの花
  戦ひの跡しぬびつつ渡る橋上げ橋といふ名ののこりゐて

    森林管理
  刈りのこす草木はわれの好みにて今日の作業にリンドウひともと
  手を入れて六年漸くヤマユリ殖えリンドウ殖えて盗掘も増ゆ
  草深き中より香りつたひくる咲きはじめたるヤマユリありて

    弘法山
  伴ひて登る秦野の低き山雲の切れ目に藍色の空
  ここもまた壊されてゆく山々か展望台石畳峰のひとつに
  あへぎつつ登るつづら折れの道眼下の林は草も木もなし
  休みやすみ登るヒノキの森のなか斜面の土は流れ尽くして
  いつになく趣のある君の文菖蒲の苑を訪ね来にしと 
  戦ひに敗れしならず肉焼くにキョウチクトウを使ひ倒れき 
  ビルならび時計塔立つ駅の前友を訪ねし日の影はなし
  造り岸広き橋には人もなしかつては堤に草茂りゐき
   (2003/06/14)

 2003年07月01日
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   ヤマボウシを見る
  草ふかき尾根にあふるるヤマボウシ霧にかすめるニンフのまぼろし
  限りなく寂しと尾根に立ちつくすヤマボウシの下思ふ人ありて
  霧の巻く谷にのぞみて果てもなく枝垂れてこぼるヤマボウシの花
  吹き付ける雨をさけつつ尾根に立つヤマボウシの花あふるるばかり
  はるばると訪ねし甲斐のあるものをヤマボウシの花雫をたるる
  草深き尾根にのぼればあふるかに霧にかすめるヤマボウシの花

  「山と森からのささやき」        (SINCE 2004/03/01)
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  注意:文章中などに利用される方は声をかけてくださいね。
  執筆:大森 孟
  自己紹介:私は1935年生まれ。森林インストラクタ−で環境カウンセラ−
    

 
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  山と森からのささやき            大森孟編集
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 2003年05月15日
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   須崎の港
  ほの暗き土佐の須崎の港町吹き出す蒸気は雲にとどけり

 2003年04月12日
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   城山カタクリの里
  青き葉を花の間にのぞかせて谷間を限り咲くオオシマザクラ
  わが前にしばしの時を眠り居る顎二重なる花いだく少女
  時すぎしカタクリ原を横切りてクロモジの花咲くに寄りゆく
  イワカガミの花にかがむもしばしにて白花カタクリ一つ見つけぬ

   田島原
  蓁原を滅ぼしマツとサクラ植ゑサクラソウのみを守らむとする

   別所沼
  覚えある草木はすべて滅ぼして天衝くメタセコイヤの並木
  沼の辺は岸を作りて在来の粗草ひとつ生き残るなし

 2003年03月31日
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   手賀沼夕照
  一輪草かへり見るなく耕して今日訪ひゆけば貸し農園に
  歳々の花喜びしコロニ−も掘り尽くされて跡形もなし
  傍らに葦生ひたつと思ひ来し手賀の沼辺は石に限られて
  見せられし資料に草木さはなれどわが立つ岸は一草もなし
  野の花を滅ぼし尽くし芝植えるどこまで行くも沼の岸辺は
  凝固剤混ぜたる土を盛り上げてベンチを造る手賀の沼辺ぞ
  奇を衒ふウナギの形の歩道あり野の草ひとつなき沼の岸
  ひとところナズナホトケノザ花を開く夕照る岸をとほく来たれば
  枯れ葦を分けて人ゆく枯れ葦に隠れて魚を釣りてゐるらし
  造り岸離れて小さき森に入る漸くこころ落ち着く思ひに
  菜の花の咲きたる畑に立ち寄りて沼の辺に鳴くヨシキリを聞く

 2003年02月08日
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   ウィルス
  待ち待つといふにあらねど君よりのメ−ルはなしと電源をとす
  所在なくファイルの名前クリックし思はぬ画像に苦笑をもらす
  つぎつぎと送られてくる文さまざまに今宵の十通みなウィルスなり

 2003年01月31日 
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   ある官庁にて

  統計をいひたてことは足りるのか莫大な税使ひ尽くして
  足るを知らず後の世の資も借り入れて疑ひもなし行政といふ妖怪
  二時間に手足も口も動かさず坐り居るのみこれが仕事か

 2002年10月08日 
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    八国山雑詠

  後ろ向きしままの生徒はさてをきてムラサキシキブの冬芽を教ふ
  ナイフにて樹皮を削りてアオハダの和名の由来はこれと教ふる
  切り株をおほふきのこを見落として過ぎゆく子らを我は呼びとむ
  エノキの実アオハダの実を拾ひ集め楽しきかなや今日の野の遊び
  斜面より吹き出す水を迂回して尾根への道を選びて登る
  山に居る蝶はキチョウにスジグロチョウ特徴などはさて措くもよし
  付き添ひの父母にも話交はしつつ生徒の見つけしきのこは何なに
  吹く風の音に怖える生徒らに梢すれ合ふ音を教へる
  デジタルカメラの像を示しつつ草木の和名我に聞き来る
  子らの持つ葉の名を言ふも楽しみと秋のひと日のはやく過ぎるか
  走り来て和名をといふ少女らは袋の中より葉をとり出す
  草木なき山には虫の生きてゆけぬ理はなし沢を登れり
  雨あとの滑る斜面に心せよと遅れて登る子に声を掛く
  走る子を制止し赤き実の落ち居る樹下に遅れる生徒らを待つ

 山と森からのささやき            (SINCE 2004/03/01)
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  注意:文章中などに利用される方は声をかけてくださいね。
  執筆:大森 孟
  自己紹介:私は1935年生まれ。森林インストラクタ−で環境カウンセラ−
  

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